代表挨拶

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代表理事 交代のご挨拶

2025年6月26日

福井 トシ子

 みなさまこんにちは。

 この度、3代目の代表理事に就任しました福井トシ子でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

  一般社団法人看護系学会等社会保険連合(以下、看保連)は、看護系の学会と看護系の団体等が加盟する連合体です。看護が提供される場で、患者や利用者のアウトカムが有益であることを、学会活動等を通じて得られたエビデンスデータをもとに、国民皆保険制度下にある社会保険診療に取り入れ、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの項目の一つである、優れた標準的なケアに患者や利用者がアクセスできるようにすることを目的としています。その目的達成のために、看護に対する評価を要望していくことが看保連の役割です。

 超高齢化が進みケア環境を充実させていかなければならない中にあって、看護職のおかれている就業環境も益々厳しい状況になっており、看護職の確保が課題になっています。このような中、タスクシフト・タスクシェアはもとより、高齢者の救急患者への対応、在宅で療養を継続するために、地域の資源の活用や連携の仕組みつくりなど看護職に期待される役割は、広がっています。しかしながら、このような状況に対する評価は、先細り感が否めません。

 そこで、看保連は、高齢者が暮らしの場で療養を継続していくことができるあらゆる体制整備について評価を求めていきます。また、専門性の高い看護職の評価等や、ケアのプロセスに対する評価など、看護の機能の評価は、まだまだ不十分です。さらに担当する患者の人数は変わらなくても、患者像が変化しているため、看護職の配置人数の不足感は増す一方です。そして、看護職に特有の就業環境である、夜間勤務をする看護職への処遇も十分ではありません。これらへの評価を求めて参りますが、看護職の量的な課題からも患者への医療提供を看護職のみで評価を求めることには、限界があります。そこで、患者や利用者の状況を踏まえ、他団体と協働するなど、ケア環境の効率性や多職種連携による成果について評価を求めて参ります。

 他方、1961年に始まった日本の国民皆保険制度は、世界に冠たる制度として、我が国にあって当たり前の制度です。しかし、社会保障制度の持続可能性が政策の論点になるほど、診療報酬・介護報酬の原資が追い付いていかない状況でもあります。そのため、評価を求めるべきところは、評価を求めて参りますが、適正化の視点も欠かせません。最新の看護の知見を踏まえ、患者や利用者の視点に立って、看保連は、限られた資源の活用による報酬評価を要望して参ります。

  看護系技術評価については、看保連だけでなく、外科系学会社会保険委員会連合(外保連)、内科系学会社会保険連合(内保連)、多職種の団体等とこれまで以上に意見交換を行い、保険収載を目指して参ります。

 また、看保連が取り組んでいる内容を会員学会等はじめ、看護職のみなさまに発信し、看保連の活動を発信して参ります。各学会や関係団体を通じて、フロントラインの看護職から意見をいただくことにより、あらたな看護の創出や評価を見いだせると考えます。

 さらに、看護職に期待されている遠隔看護など、2040年に向かって、これまでの延長線上ではない看護の取り組みを看保連会員のみなさまと創出して参りたいと考えております。

 外部環境の変化は、著しくそのスピードも加速しています。ブーカの時代と言われる予測不可能な時代であるからこそ、保健医療福祉に求められる新しい時代に即応し、より良い診療報酬体系の構築に看保連は貢献して参ります。

 看保連は、設立20年周年を迎えました。今日まで、先人の努力によって、看保連のプレゼンスを高めて参りました。当面の2040年に向かって、患者や利用者の視点にたって、また、看護職の力が、最大限発揮できる環境の実現に向けて、邁進して参ります。

代表理事 退任のあいさつ

2025年6月26日

山田 雅子

        

 皆様こんにちは。

 この度6年間の任期を終え、代表理事を退任いたしました。初代代表理事の井部俊子氏の体制下では理事を務めておりましたので、10年を超える長きにわたり、本会の運営に携わる機会を頂戴したことになります。この頃になって、本会の存在意義についてよく考えるようになりましたので少し書いてみます。

 そもそも看護という仕事は個人を包括的にアセスメントした上で、個別のニーズに関わる連続したサービスを提供する仕事であって、それを切り売りすることはふさわしくないと感じています。看護にまつわる報酬の評価が、「入院基本料」や「訪問看護療養費」のように、看護師が患者の前に一定時間存在していたことに対して包括的に行われてきました。しかし近年の報酬改定では、対象者の特性で区切る、看護技術の内容で区切る、看護師の専門性の水準で区切る、といった方法で看護に対する経済的価値を高めようとする動きがみられます。

 看護学が発展し、よりよい看護実践の開発が進んでいることは大変良いことと思います。しかし一方で、専門性の高い看護師がいないことを理由に、実施されない看護は存在するのでしょうか。また、加算の要件を満たしていないからと、実施しなくてもよいとされる看護は存在するのでしょうか。考え始めるとよくわからないことがたくさんあります。報酬が上がることは看護への社会的評価の高まりを示すものと理解できます。しかし同時に、患者の自己負担や社会保障費も増加する仕組みの中で、その評価をどのように判断するかは極めて難しい課題です。

 もやもやを抱えたまま代表理事を退任いたしますが、困難な時代だからこそ、腹を割って意見交換し、提案をし続けてほしいと願います。これまで、各種委員会や情報交換会を盛り上げてくださいましてありがとうございました。退任に当たり、この難しい営みについて一緒に考えてくださいました皆様に、深く感謝いたします。

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